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2017年6月3日(土)
イクボス
イクメンという言葉はよく聞くようになった。イクボスというのは、たまに聞くがどういうことなのか…よく分かっていなかった。
本日、岐阜市のワークプラザ岐阜で、連合岐阜主催の2017地域フォーラム inぎふ(男女平等セミナー)があり参加した。200人近い参加者がいる中で、なぜか議員は一番前の席に誘導される。
今日のテーマは一言で言えば「働き方改革」である。その基調講演のテーマが『イクボスが企業・社会を変える』講師は、ファザーリング・ジャパン代表の安藤 哲也氏だ。
正直、これほど痛快な講演は久しぶりだ。痛快なだけでなく、この安藤さんの取り組みを進めることは、今後の日本を救う上でたいへん重要なことだと感じた。
私自身も、働き方改革は、日本の将来を左右し、それ以上に日本人が幸せに生きるために改めていかなければならないテーマだと思っている。それは少子化に直結しており人口問題こそ、今後の日本の最大のテーマだと感じている。
ただ、働くことを美徳とし、働き過ぎることに寛容な日本人の価値観を変えてゆくことは並大抵ではない。私自身も、サラリーマン時代は帰宅は9時10時11時は当たり前という生活をしていたので、働き過ぎることは体にしみついている。
このイクボスというのは、特に私たちの年代、社会では部長・局長・社長など指導的な立場にいる、いわゆる「ボス」がたくさんいるわけだが、そのボスが育児に関心を持ち、子育て世代に対して理解して行動するということだ。
ある会社の例では、社長が、社長室に子育て世代の社員とその上司を呼んで、その場で年間の有給休暇取得計画をつくるという。この会社、社員の有給休暇取得率は100%となる。
育児休暇も本来は男女同じように権利はあるのだが、男性が取る率はきわめて少ない。安藤氏自身は、楽天で部長職まで勤めた方だが、あの猛烈企業にあって安藤氏の部署は、残業がほとんどない課として有名だったそうだ。
子どもの病気のために会社を休んだことも何度もあるという。それでもその課の業績は落ちなかった。それどころか長期休暇を取ってヨーロッパへサッカー観戦に行った社員が、会社に多大な貢献をする商品を生み出したりした。
つまりトップや職場の上司が、率先して働き方や子育て支援などについて積極的に取り組めば、職場の環境は劇的に変わる。そして、そのことは会社の業績や評価にも大きな変化をもたらすことになる。
少子化が進む中で、企業にとっても人材の確保が至上命題になってきているが、時代の流れとして会社の業績とか有名度とかよりも、いかに働きやすいか、社員を大切にしてくれる企業であるか…ということが大きなポイントになってきている。
残業がゼロだとか、有給取得率が100%だとかいうのは、企業にとって最大のセールスポイントになり得る。そういう時代なのである。人を大切にするということには給料がいいということも含まれているが、給料がそれほど変わらないなら、働く環境がいい会社を選ぶだろう。
最近のヤマト運輸のサービス残業問題などでもボロが出て来たが、そもそも日本は働くことを当たり前として、正当な賃金を払ってこなかった。パートやアルバイトも700円や800円の時給が普通だが、欧米では1000円1500円は当たり前なのだ。
結局、戦後ずっと自民党、すなわち資本家や大企業、さらには国家を第一と考える政党が日本の政治を握ってきた結果、労働者の声はいつもかき消されて来た。
働く者の代表である連合が応援する民主党が政権を取ったのはわずかに3年3ヶ月。その間に、高校無償化や子ども手当創出など、矢継ぎ早に人への投資を加速したが、結局は老練な保守勢力、官僚集団、さらにはマスコミの力であえなく国民の不評を買う形で終わってしまった。
数の上では、資本家・大企業よりも労働者・生活者のほうがはるかに多いはずなのに、その人々さえ現政権を支持する。
統率力は秩序を重んずる人が多いのだろうが、それは戦後の教育の賜物なのだろう。団体行動が重んじられ、個人の意見や自分で考えて行動するということが苦手の子を生み出し続けた。
欧米では政治について、ディベートなどの手法を用いて意見を戦わせたりする授業が普通にあるが、日本ではほとんどの学校で現代史まで至らずに終わる。大人しい、長いモノには巻かれろ的な大人をつくって来た結果、批判精神の乏しい多くの国民が生まれて来たというのが、私の見方だ。
しかし、そうはいっても批判精神旺盛で、自分の頭で考えて行動する人も沢山いる。もしかしたら仕事に没頭させて、政治のことなどに口を出す余裕も無くしてきたのも国家戦略かもしれないが、今からでも遅くない。
イクボスが増えることによって、社会全体の流れが変わってくると思う。働くことは「はたを楽にすること」つまり、人を楽にすることによって、自分も幸せになるということだと思う。
日本人は、国や大企業が、富むこと強くなることを考えるよりも、自分や周りで困っている人が幸せになることに注力すべき時がやって来たと思う。そして、結果的にはそのこと(国民一人一人が幸せになること)が国や企業を富ませることにつながるのだと思う。
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