Title: 7か月 死産
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2016年8月末、生理が遅れていることに気づいてわかった、初めての妊娠。 正直、最初は今後の生活とか、仕事とか、どうしようという気持ちのほうが大きかった。 でも、今の会社で産休・育休をとって産むと決めて、9月に入籍、10月に新居に引っ越した。 すごくバタバタしてたけど、大きくなっていくお腹が愛おしくて、幸せだった。
つわりは妊娠初期から始まり、安定期に入ってもおさまるどころか酷くなっていった。お腹の張りも出てきて、お医者さんから診断書をもらった。 でも、仕事は替えがきかなくて、休みながらも出勤していた。 お腹の赤ちゃんがどうか無事でありますようにと毎日祈りつつ、仕事してた。
元々、長時間残業しなければ終わらない職場だったこともあり、マネージャーに相談して、12月には現場を異動させてもらう予定だった。 でも、人事異動がうまくいかず、結局異動の話はなくなった。結構絶望的だった。
妊娠6か月に入ったあたりから、ちょくちょく胎動を感じ始めてた。 朝7時、出勤中の電車の中、お昼の12時、夜寝る前23時。 家にいるときは話しかけたり、朝の電車の中では、お腹に手をトントンしてお返事してた。 定期検診も、どんどん大きくなる我が子がとっても可愛らしく、エコーで見るたび、つわりの辛さを忘れられた。 性別も男の子と分かり、旦那は大喜びだった。
11月の半ばを過ぎたころから、胎動の回数が減っているような気がした。 すごく心配で、病院にかけこんで、エコーで我が子を見せてもらった。 そのときはちゃんと心臓が動いてて、元気いっぱいドクドクと心拍が聞こえた。 ほっとしたけれど、あとかた思うと、これが息子の元気な姿をエコーで見る最後の日となった。
年末、仰向けになったとき、ふと、あれ?お腹小さくなってる? お風呂に浸かって温まっていたとき、あれ?おへその周りだけ白くで冷たい。 心の中がザワザワ。 どうか、気のせいでありますように。 12月30日、これが感じた最後の胎動だった。
新年が明け、1月6日に定期検診。 息子の心臓は止まっていた。 なんとなく、頭の中にちらついていたことが現実になってしまった。目の前が真っ暗になった。
なんで?なんで私の息子なの?春に産まれる予定だったのに。 ちょうど7か月に入ったところだったのに。 幸せから一変、涙の日々になった。 連休明けに出産の予定になった。 今まで入院なんてしたことなかったのに、人生で初めての入院がまさか死産での入院になるとは思わなかった。
看護師さんの計らいで、個室にしてもらえた。 ぼうっと病室から外を見ていたら、窓に小さな子供の手形がうっすらあることに気づく。 前の人が子連れで、その子がイタズラしたのかな?って思ったけど、あとで掃除の人が来て、窓を拭いていった。 翌日、また外を眺めていたら、手形が残っていた。 「あ、息子なんだ」と、なんとなく思った。 「よし、明日は分娩日。産むぞ!ママ、頑張るからね!」って心の中で息子に話しかけた。
分娩日、初めての陣痛とか出産とか、不安は色々あったけど、もうひたすら息子の名前を心の中で叫び続けた。 1時間ちょっとで産まれた。 お腹の中で亡くなって時間が経ってるから、体が損傷してしまうかもしれないといわれていたけど、五体満足で産まれてきてくれた。 手の指の形は旦那そっくりで、立派なちんちんもついてて。 本当に天使だった。 息子に会えて、こんなに穏やかで愛おしい気持ちになったのは初めてだった。 しばらく、母と旦那と、息子の可愛らしい姿を眺めていた。
そのあとは葬儀屋さんと息子のお別れ会や火葬の日程の話し合いになった。 お別れが近づいてくる。 病室で息子に手紙を書いた。 天国に届きますようにと願いを込めて。
お別れ会は旦那と私の親族が集まった。 冷たくなってしまった息子の頭をいっぱい撫でてやった。
火葬の時、息子に書いた手紙とお花をいっぱい棺に入れた。 小さな小さな棺だけど、重みはしっかりあった。 あんな小さな体だけど、私のお腹の中で元気いっぱい生きててくれたんだと思うと、愛おしさでまた涙が溢れた。
焼きあがったお骨を旦那と丁寧に拾い集めた。 小さな骨壺でも十分すぎるくらい、お骨は小さく、可愛らしかった。
家に帰って、早速息子のコーナーをつくった。 祖母が編んでくれた毛糸のおくるみで骨壺を包み、お花を飾り、お菓子と、アンパンマンの人形をたくさん飾った。 1月は毎日毎日泣いた。泣いて泣いて泣きまくって、夜になると不安と寂しさが襲ってきた。
今は泣く回数は減ったけど、それでも受け入れるにはまだまだ時間がかかると思う。 我が家の天使は、私たち夫婦、家族に大切なことを教えてくれた。結婚するまでは旦那と喧嘩する日々だったけど、息子が来てくれた時から、すごく仲良しになった。 当たり前に授かって、当たり前に産まれて、当たり前に元気に育つわけじゃない。 人生は、この世は、いつ何が起こるか分からない。 息子のおかげで、今まで当たり前だと思っていたことに、改めて感謝しようと思えた。 息子に沢山のありがとうと、愛を送り続けたい。
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