Title: 18週6日 胎児奇形
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初めての妊娠。 周りに出産・妊娠ラッシュが訪れているときで、当然、私もその波に乗るものだと思っていた。
つわりは辛かったものの、何とか食べられるようになった頃には 妊娠18週になっていた。
18週1日の妊婦検診。 この日は3D超音波検査があり、やっと性別が分かるとあって、旦那さんを初めて検診に連れて行った。
四つ葉(赤ちゃんの胎児名。男の子だった。)は、狭いお腹の中で元気に動き回っており、私たち夫婦はこの先訪れる幸せな未来しか考えていなかった。 奇しくも、この日の夜、初めての胎動を感じることになる。
2日後、主治医に、超音波でお腹を見るからと、仕事中に呼び出された。 私は、出産する病院の産婦人科病棟の看護師なのだ。 当然、周りのスタッフは私の妊娠、これまでの経過を知っているし、同じく、ほかに4人の妊婦がいる。
エコーの手を止め、突然の告知。 「重度の胎児奇形」 何言ってるの先生、冗談はやめてよね。と、四つ葉も動く。
嘘だ。 師長さん、何であなたまでいるのかと思ったけど、こういうこと!?
震える声で夫、母親を呼び、主治医より説明を受ける。 何とかならないかと医大へ行き、セカンドオピニオンするも、結果はさらに残酷なものだった。
夫婦でよく話し合い、泣きじゃくり、人工死産を決意した。 職業柄、人工死産は悲しいことだが、珍しくないことは知っている。 どんな処置をするのかも、手にとるように分かる。 まさか、自分が・・・。
ラミナリアという海草や、メトロという用具で、 無理矢理硬い子宮口を広げ、陣痛を起こすための膣坐剤を、 何回も子宮の奥深くにねじ込まれる。
その間も、元気に動く四葉。
涙が止まらなかった。途中で何度も止めてと叫びたかった。 止めてどうする?止めたらどうなる?分からない・・・。 されるがまま。時は待ってくれない。
処置を始めて3日目に入った夜中、平成24年5月31日 午前2時2分 18週6日 236g 24cm 四つ葉は産まれた。
産声を上げずに。 ピクリとも動かなかった。
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