Title: 30週3日 一卵性双子 子宮内胎児死亡
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その日はなんとなく貧血気味でしたが、予定通り、定期健診に行きました。エコーの前に、先生からも「少し貧血が出てるみたいですね」といわれました。そして、診察台に上がりました。
その日は診察台に上がると、低血圧で具合が悪くなってしまいました。いつもだったら早く終わるはずのエコー検査では、なかなか先生が話し出そうとしません。私の具合が悪かった事もあり、病室で休むようにいわれました。
その数十分後、貧血が治ったので先生に診てもらおうとすると、先生がわざわざ診察室から出てきて「ご主人は近くにいらっしゃいますか?」ときいてきました。「ちょっと気になることがあって」とのこと。 私は主人と子供たちを呼び出し、主人が到着するまでの間、診察をしてもらうことにしました。 先生の見間違いであって欲しい。 淡い希望を抱いていたのですが、結果は「心臓が動いていない。頭の形がおかしい」とのことでした。急いで国立病院に行くように言われましたが、私の中では、まだ半信半疑でした。上の子達と「きっと、違うよね」と、普通に笑ってました。
国立病院に着いて、初めて事の重大さに気がつきました。病院の前まで車椅子のお迎えが来ていたのです。その後、私一人だけ緊急用のエレベーターに乗って診察を受けました。 もう一人の子どもを先生は見ていました。「少し心臓がはれている。いつ亡くなったんだろう」そんな声が聞こえてきました。私は、先生に恐る恐る尋ねました「やっぱり心臓動いてないんですか?」先生は「もう一人は亡くなっている。早く、もう一人を取り出さないと危険だ」と、いいました。
手術の準備が着々と進む間も、何がなんだかわからずにいました。看護婦さんが「泣いてもいいんだよ」と言ってくれました。 あ、私強がってたんだ、と気づきました。それからは涙が、次から次にあふれてきました。 40分後に、緊急帝王切開で双子を出産しました。兄は1250g、弟は1502gでした。一人はちゃんと大声で泣いてくれましたが、もう一人は泣きもせず、会わせてももらえませんでした。
術後2日目になって、ようやく立ち上がることが出来たので「亡くなった赤ちゃんに会いたい」と、主人に頼みましたが、「一卵性なんだから顔は一緒だ」と、反対しました。でも「2人は2人一緒の遺伝子だとしても違う。母親として私は会うんだ」と言って、主人に頼みました。
火葬する日、初めて赤ちゃんを見ました。なんだかわからない台に赤ちゃんは寝ていて、上からタオルをかけられていました。 看護婦さんが「赤ちゃんを棺に移してくださいね」と言って、ゴム手袋を渡されました。なんで?赤ちゃんをこの手で抱くことは出来ないの? タオルをめくって、その惨状に言葉を失ってしまいました。主人が「会わないほうがいい」と言っていたのも、納得が出来ました。頭のどこをもっていいのか、わからないくらいでした。二人で棺に運びましたが、その冷たさや感覚が、未だに手に残っています。 でも、赤ちゃんに会ったことに後悔はありません。
こんなになるまで気がつかなかった私を許して。 こんなになってまでも弟を守ってくれていたんだね。 ありがとう。今、弟は未熟児センターで頑張っているよ。お兄ちゃんが見守ってくれているから大丈夫だよね
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