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2012年3月30日(金)
愛知淑徳大学へ メンター制度研究
同じ会派(民主ネット可児)を組む、伊藤英生市議が、この三月議会の一般質問で行った『青少年支援メンター制度』のことを、さらに詳しく調べようと愛知県長久手市の愛知淑徳大学を訪ねた。
伊藤市議と、カウンセリング等について詳しい二人の共通の友人も一緒だ。先方はわが国のメンター制度(メンタリング・プログラム)の第一人者渡辺かよ子教授と、その夫で慶応義塾大学教授の渡辺直登教授だ。
渡辺直登先生はたまたま春休みで名古屋に帰って来ているところを、わざわざ我々のために来てきただいたようだ。お二人ともとても柔和で気さくで笑みを絶やさず、こちらが恐縮してしまうくらい丁寧に応対していただいた。
ここへ来る発端は、今年1月30〜31日に行った会派の行政視察研修で、広島市役所を訪ねたことだった。全国で最先端をゆく『メンター制度』を活用している広島市で、その理論的な裏づけとなっているのが渡辺かよ子先生であることを知った。
メンターの語源はギリシア神話にあり、良き指導者とか良き理解者といえる人で、これに対してメンティ(もしくはプロテジェ)がいる。成熟した年長者であるメンターと、若年のメンティとが、基本的に1対1で、継続的定期的に交流し、適切な役割モデルの構築を通じてメンティの発達支援を目指す関係性。
広島市の実践では、メンターへの相談等を希望する小中学生に対して、人生経験豊富な大人を市がマッチングさせ、子どもの気軽な相談役を大人が引き受ける形だ。
これにより、不登校やいじめの問題が一気に好転した経緯がある。さらに、このメンター制度は、新入社員に対してベテランもしくは、ちょっと年上の方をマッチングする方法もある。
ブラザー工業は、新入社員200人に、それぞれ入社5〜6年の先輩社員をメンターとしてマッチングさせ、技術の継承やメンタル面での相談にも乗っているそうだ。
メンターとは?↓
http://www.smartvision.co.jp/mentor.html
渡辺かよ子先生がおっしゃった…メンター制度は究極の民主主義だという言葉が耳に残っている。つまりメンター制度は、一人からできる社会貢献であり、社会変革でもある。
広島市の事例では、大人のメンターが小中学生のメンティにつくわけだが、子どもは両親以外の大人との接点を得る。子どもは、中には不登校や発達障がい等、なんらかの問題を抱える子もいるが、原則普通の子である。
つまり、問題が起きてからではなく、起きる前から人間関係をつくるのだ。制度では1年間、月に一度程度、二人で会うということだが、保護者にとっても頼りになる存在である。結局、1年で終わらずに高校入学まで続くケースが多いようだ。
メンターも当初は、定年を過ぎた熟年世代が多かったが、ここ数年は教育学部系の大学生など若い世代が一番多いそうだ。
さらにアメリカでは、このようなメンター制度は100年も前からあり、オバマ大統領もこの制度を推奨している。2005年のデータでは、300万人の大人がメンター制度に参加しており、4400万人の大人がメンター制度への参加を真剣に考えているという報告がある。
日本とアメリカはその文化的背景は大きく違うが、ここに来て日本の家族社会、ムラ社会という構造も崩壊しつつあり、個人主義が広がっている。それを助長しているのがパソコン・ゲーム・携帯電話である。
私もPTA会長を5年もやっていたので、考えることは多かったが、現在の地域での青少年育成プログラムにはある種の限界を感じている。
可児市でも地域全体で子どもを育てようというエデュースナインとか、青少年育成市民会議、各地の子ども見守り隊など、一生懸命活動はしている。すべて集団での活動であり、子ども達一人ひとりを観ているわけではない。
私自身、現在も帷子地区の青少年育成市民会議の理事ということになっている。(議員は全員理事)地域に根ざしたこうした活動を決して批判するものではないが、やれることとその手ごたえに空しさを感じることはある。
主な活動は、駅前での青少年育成啓発グッズ(使い捨てカイロ)を配ることや、シンポジウムへの参加、啓発リーフレットの作成、あいさつ運動や啓発のぼり旗の作成など、直接子どもたちに接することはない。
その点、昨夏から始まった夏休みキッズクラブなどは、直接子どもとのふれあいもあり、やりがいもあるがこれも集団対集団であり、子どもの成長を継続的に見てゆくということは難しい。
青少年支援メンター制度は、一人の子どもを一人の大人が1年単位で見てゆくということであり、その子の人生やその家族にもしかしたら大きな影響を与える可能性がある。
メンターは良き指導者、良き理解者という意味があることは先に触れたが、要は夢を実現するための手助けをする人という局面を持つ。無論、様々な問題を抱える子どもや家族もある。子どもが多すぎて、両親の手が回らないというケースもあろう、逆に一人っ子で親と先生以外に大人との接点がないという子もいるだろう。
メンターの側にとっても、子育てを終え、あるいは子育てを経験したことのない大人にとっても、たった一人の子を1年、場合によっては9年間支援するということは貴重な体験であり、いきがいになろう。
そして、良きメンターとは、臨床心理士とかカウンセラーとかいうことではなく、ごく普通の人で、挫折を経験した人、それでも希望を語れる人であるという。
このように考えると、このメンター制度は、今の社会が抱える、特に子どもたちを取り巻くいろいろな課題の解決に大いに役立ちそうである。ただ、しっかりとした制度設計、学問的な裏づけの基に進めないと危険なこともある。
全国的な成功事例は広島市くらいだが、ぜひわが可児市でも実現させていきたい。市長がいつもおっしゃてるように「可児市の可は可能性の可、可児市の児は小児の児」子どもたちの可能性を引き出せる、子育て環境の良い可児市づくりのため、メンター制度の導入を伊藤英生議員とともに、推進していきたいと思う。
今年中のなるべく早いうちに、渡辺かよ子先生を招いての勉強会等も企画してゆく予定だ。まずは、メンター制度(メンタリング・プログラム)の理解者を増やしてゆくことから始めたい。
山根さん可児市でも是非こういう制度を実現してください。期待しております。
a to z ..4/1 7:15(日)
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